今では少子高齢化が社会問題になり人口も減少傾向にありますが、1990年代にマンションの建築ラッシュが起きて、都心部では現在でも多くの新築マンションが建設されています。
「自分が住んでいるマンションは新しいから、建て替えや取り壊しはずっと先のこと」と思っている方も多いかもしれません。
しかし建物は必ず老朽化するので、いつかは建て替えや取り壊しをしなければいけません。
一戸建て住宅と比較すると、マンションを解体する場合は相当な金額になることは、容易に想像できますが、具体的にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
ここではマンションの解体費用の相場と、その費用を誰が負担するかについて紹介しています。
特に現在古いマンションにお住いの方には、とても参考になる内容となっています。
マンションの解体が行われるのは、単純に建物が老朽化するからです。
十分な入居者がいて、建物の安全性や快適性が保たれているのであれば、わざわざ解体工事を行う必要はありません。
したがって、マンションの解体は「建物の安全性や快適性が、メンテナンス・修繕・リフォーム工事を行っても保たれなくなった」と判断されたときに行われます。
解体後は「新しいマンションに建て替える」「更地のままオーナーが所有し続ける」「売却する」などが選択肢として挙げられます。
マンションに限らず、建物は建設された瞬間から老朽化がはじまり、いつかは寿命を迎えます。
マンションはR造(鉄骨)、RC造(鉄筋コンクリート)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)のいずれかで建設されています。
R造、RC造、SRC造の順に強度が高くなり、国土交通省ではRC造、SRC造のマンションの耐用年数を47年と定めています。
しかし実際には、ほとんどマンションが30~40年で解体されています。
あくまでも47年という数字は目安であって、毎年老朽化が進みます。
構造体だけではなく、設備・その他の建材・マンション周りの植栽なども含めて、しっかりメンテナンスや修繕を行わなければ、寿命は短くなってしまいます。
また、耐震面もポイントです。
新しいマンションは「新耐震設計基準」を満たしていて、震度7の地震の揺れにも耐えられる設計となっています。
しかし、1981年以前の建築物には震度5強程度までの地震にしか耐えられない「旧耐震基準」が採用されていたことから、大きな地震がくると倒壊の可能性が高くなっています。
マンションの構造 |
解体費用の目安 |
R造(鉄骨) |
2.5~4万円/坪 |
RC造(鉄筋コンクリート) |
4~8万円/坪 |
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート) |
5~8万円/坪 |
上記は、マンションの構造別の解体費用の相場です。
しかし、この数字はあくまでも目安であって、マンションの解体費用は立地条件やマンションの規模、地域によっても大きく変わってきます。
また、古い建物で建築に使用されている建材に有害物質であるアスベストが含まれている場合、除去するために別途費用が発生します。
さらに、マンションの解体方法には様々な種類があり、それによっても費用は大きく異なります。
マンションの構造でもっとも多いのはRC造ですが、1棟50戸のマンションとしても、解体費用が1億円の場合もあれば、5億円以上になることもあります。
マンションの解体費用は誰が負担するのかについてですが、賃貸マンションか分譲マンションかによって異なります。
賃貸マンションであれば、どのような状況であろうと住民が費用を負担するケースは一切ありません。
マンションの解体費用は、その所有者であるオーナーが負担します。
ただし、マンションは必ず寿命を迎えることを建築時からオーナーは知っているので、毎月の管理費や維持費に解体費用分が含まれていることは十分に考えられます。
分譲マンションの場合は、住民それぞれが部屋を購入し所有者となるため、解体費用も住民が負担するのが原則とされています。
ただし、マンションにはたくさんの住民が暮らしているため、当然ですが個人の意見で勝手に解体工事を行うことはできないように法律で定められています。
具体的にはマンションの区分所有者の5分の4以上の合意を得られなければ、解体も建て替えも行うことができません。
マンションには必ず寿命があり、いつかは建て替えか取り壊しをしなくてはいけません。
規模が大きなマンションほど、解体費用は高額となります。
マンションの構造別におおよその費用相場は算出されていますが、その金額はあくまでも目安でしかありません。
マンションの解体費用は立地条件やマンションの延べ床面積、地域、解体方法、アスベストの有無などによっても大きく変わってきます。
賃貸マンションの場合は、住民が解体費用を負担することは一切ありませんが、分譲マンションの解体費用は住民が負担するのが原則となっています。
ただし、解体するためには区分所有者の5分の4以上の合意を得る必要があるため、個人的に建て替えや取り壊しをしたいと希望しても、それを実行することは簡単ではありません。