木造の一般住宅とは違い、鉄骨造のビルの寿命は100年とも言われています。
しかし実際には、ある程度老朽化すれば建て直しをするか取り壊しをしなければいけないのが現実です。
ここでは、ビルを解体する手順や方法と、ビル解体の費用相場を紹介しています。
所有されているビルの解体工事を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
まずは、ビル解体の手順について紹介します。
手順1 解体工事業の選択・依頼
手順2 現場調査
手順3 契約
手順4 近隣住宅への挨拶
手順5 足場組立
手順5 工事着工
手順6 産廃物の搬送
手順7 工事完了・現場確認
手順8 工事費用の支払い
上記が、おおまかなビル解体工事の手順です。
ビルの解体といっても、一般住宅の工事と大きく変わる点はありません。
ただし、一軒家だと着工すれば数日で工事が終了するケースがほとんどですが、ビル解体の場合は延床面積が50坪程度の小さな建物でも最低10日以上、100坪以上になると1ヶ月以上の工期になるのが当たり前です。
鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)などの頑丈な建物で、300坪や500坪のビルともなれば、2ヶ月や4ヶ月以上かかることもざらにあります。
ビル解体の手順5に足場組立という項目がありますが、ビルは周辺の建物と隣接しているケースが多いため、足場を組むことができないこともあります。
その他にも立地や環境によって、ビル解体には様々な方法が用意されています。
大きなビルを解体する際にもっとも選択されるのが「階上解体」です。
その名の通りにビルの最上階から下へ向かって、重機を使って解体していく方法です。
重機をビルの上に載せるため、壁の崩落などに十分に注意しながら工事を進めなければいけません。
「地上に重機を設置できず、十分な足場も組めない」というような繁華街などのビルに適しています。
階上解体とは真逆で、地上に重機を設置して地上部分から階上に向かって解体を進めていくのが「地上解体」です。
ハイリフト重機と呼ばれる大型重機が使用され、その中でも超ロング解体機を用いれば、65m程度までの高さがあるビルを解体することができます。
新しい解体方法で、高層ビルの解体に適しているのが「上部閉鎖式解体」です。
ビルの上部に移動できる閉鎖空間を設け、下の階に向かってフロアの解体作業を進めていきます。
この方法であれば、工事現場を閉鎖空間にすることができるため、周辺への粉塵の飛散や騒音も抑えることが可能となります。
その名の通り、建物の下部から解体していくのが「だるま落とし式解体」です。
具体的にはジャッキを使用し下階をもち上げて、1フロアずつ解体していきます。
別名「カットアンドダウン工法」とも呼ばれていて、こちらも粉塵の飛散や騒音を抑制できる環境に優しい解体方法です。
地上解体や階上解体ほど選択されてはいませんが、建材をブロックごとに解体して地上に下ろしていくのが「ブロック解体」です。
解体工事中に地震が起きた時の安全性を保て、工期も短縮できて騒音も発生しにくいメリットがあります。
ビルの構造 |
解体費用相場/坪 |
鉄骨造 |
35,000円 |
鉄筋コンクリート造(RC) |
45,000円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) |
60,000円 |
上記は1坪あたりのビル解体費用の相場を示した表です。
ビルも一般住宅と同様に、構造が頑丈なほど解体費用が高額になります。
ただし、表に示した数字はあくまでも目安であって、解体費用は工事を依頼する業者や地域によってかなり変わります。
九州・沖縄地方は関東や近畿地方と比べて、解体費用相場の坪単価が1万円前後安くなっています。
ビルの解体費用は、構造や地域や解体方法によってもかなり変わってきますが、もっとも重要なのは業者選びといっても過言ではありません。
今ではインターネットで良さそうな依頼先を容易に見つけることができますが、1社だけに絞ることは避けましょう。
解体工事の見積金額は依頼先によって違いがあり、その差は倍以上になることも珍しくありません。
大手に依頼すれば安心と思われる方も多いと思いますが、大手の場合は現場監督だけを自社で行い、大抵は下請け業者を利用します。
依頼先によって金額が異なるにはいろいろな理由がありますが、もっとも大きな要素は各社がどのくらいの利益を得ようとするかです。
そこに下請け業者が入れば、余分な中間マージンが発生して工事金額はより高くなってしまいます。
見積金額ばかりに気をとられると、工事中や工事後に問題が発生して、発注者側も損害賠償責任を負うことになるケースもあるので、業者選びには十分な注意が必要です。
ビル解体の実績を確認することは業者選びで重要ですが、必ず工事に必要な許可や登録を得ていることを確認してください。
ビルの解体費用は金額が大きくなるケースが多く、工事金額が500万円を超える工事を請け負うためには「建設業の許可」が必要です。
解体工事で発生した産業廃棄物を搬出するには「産業廃棄物収集運搬業」が必須となります。
そもそも解体工事を行ってもいいのは、「建設業」「とび・土木工事業」「解体業」のいずれかの登録を行っている業者だけです。
一般住宅と違ってビルの解体には様々な方法があり、立地や周辺環境に合わせて適切な方法を選択し手順を踏まなければいけません。
解体工事費用には相場があるので、できるだけ多くの業者から相見積りをとりましょう。
業者選びを行う際には、ビル解体に必要な許可や登録も確認して、安さだけで選ばないように気をつけ、本当に信頼できる会社と契約を交わしてください。